退職届を直接渡せない。電話もかけられない。でもバックレはしたくない。
そういう状態なら、退職届を内容証明郵便で会社に送る方法があります。電話も出社も不要で、法的に有効な退職の意思表示になります。
この記事では、内容証明で退職届を送る手順と、送った後に何が起きるかを整理します。
※この記事は民法・労働基準法および日本郵便の公開情報に基づいて構成しています。個別の状況については弁護士や社労士にご相談ください。
内容証明郵便とは何か
内容証明郵便は、「いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったか」を日本郵便が証明してくれるサービスです。
退職届を内容証明で送る意味は、会社が「届いていない」「知らない」と言えなくなることにあります。普通郵便やメールで送った場合、会社が「受け取っていない」と主張する余地が残りますが、内容証明なら送った事実と内容が公的に記録されます。
配達証明をつけて送れば、届いた日付も証明されます。退職届が届いた日から2週間で退職が成立する(民法627条)ので、届いた日付の証明は重要です。
出典: 日本郵便「内容証明」(https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/)
退職届に書く内容
内容証明で送る退職届はシンプルで構いません。必要な項目は以下の通りです。
宛先
会社の正式名称と代表者名。本店所在地宛て。直属の上司ではなく、代表取締役宛てにします。
差出人
自分の住所と氏名。
3つの日付
- 送付日: 内容証明を郵便局に差し出す日
- 退職日: 内容証明が届いてから2週間以上先の日付(民法627条)
- 最終出社日: 有給休暇を使う場合は、退職日から有給日数を差し引いた日
退職理由
「一身上の都合により」で十分です。詳しい理由を書く必要はありません。パワハラなど会社側に原因がある場合は「会社都合」と書く選択肢もありますが、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。
退職届の文例
“`
退職届
私は、一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。
令和○年○月○日
住所:○○県○○市○○町○-○-○
氏名:○○ ○○
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○ 殿
“`
送り方(郵便局またはオンライン)
郵便局の窓口で送る場合
用意するものは3つです。
- 退職届の本文1通(会社に届くもの)
- 謄本2通(差出人用と郵便局保存用。本文と同じ内容のコピー)
- 差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒
窓口で「内容証明で出したい。配達証明もつけてください」と伝えれば手続きしてもらえます。
内容証明には文字数・行数の制限があります。横書きの場合、1行26字以内・1枚20行以内。退職届の内容なら1枚に収まります。
費用は、基本郵便料金+内容証明加算料金+配達証明加算料金で、合計1,500〜2,000円程度です。
オンライン(e内容証明)で送る場合
日本郵便のWebゆうびん(e内容証明)を使えば、Wordファイルをアップロードして送れます。郵便局に行く必要がありません。文字数・行数の制限もe内容証明では緩和されています。
出典: 日本郵便「e内容証明(電子内容証明)」(https://e-naiyo.post.japanpost.jp/)
送った後に何が起きるか
退職届が届いた日から2週間で退職が成立する
民法627条により、期間の定めのない雇用契約(正社員)であれば、退職の意思表示が届いてから2週間で退職が成立します。会社の承認は不要です。
「退職届を受理しない」と会社が言っても、届いた時点で退職の意思表示は完了しています。受理されなくても、2週間後に退職の効力が発生します。
出典: e-Gov法令検索「民法第627条」
会社から電話が来ることがある
内容証明で退職届を送ると、会社から「どういうことだ」「電話に出なさい」と連絡が来ることがあります。
電話に出る義務はありません。退職届は届いている以上、退職手続きは進みます。どうしても連絡が必要な場合は、メールで対応すれば十分です。
貸与品の返却は自分で行う
社員証、保険証、PCなどの貸与品は、退職届とは別に郵送で返却します。追跡番号が残る方法で送り、伝票の写真を残してください。
離職票などの書類は届くまで待つ
退職届が届いて退職日を迎えれば、会社は離職票や源泉徴収票を発行する義務があります。届かない場合はハローワークから会社に督促を依頼できます。
内容証明を書くのも送るのも難しいなら
内容証明は自分で退職手続きを完結させる方法です。費用も2,000円程度で済みます。自分で送れる状態なら、これが一番安くて確実です。
ただし、退職届の文面を書くこと、郵便局に行くこと(またはオンラインで手続きすること)、会社からの電話に対応するかどうかの判断——これらを全部自分でやる必要があります。
問題は、内容証明を送った後です。会社が受け取ったうえで無視する、あるいは「損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」と返してくる。ここまで来ると、費用は跳ね上がりますが、弁護士に代わってもらうしかありません。2,000円で済む段階と、5万円台になる段階は別物です。その分かれ目がどこかを、先に知っておいてください。
ナオ内容証明まで来ているということは、すでに一度、話がこじれています。この先で会社が「損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」と言い出したとき、退職を伝えるだけの相手では受けきれません。
ガイア法律事務所は弁護士なので、退職届を出すところから、その後に会社が何を言ってきても、そのまま代理人として続きます。あなたが会社の文書に返事を書く場面は、ここで終わります。
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